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先ごろ結審した厚生労働省女性キャリア官僚・村木厚子氏の郵便不正事件。裁判の中で検察が描いた事件のストーリーが崩れ去り、検察側の証人までもが次々と法廷で証言を覆し、「自白を強要された」「取り調べで検事に騙された」「保釈をエサに調書へのサインを求められた」など特捜部への批判を口にした。さらに、多くの検面調書(検面)が証拠採用されず、裁判長が特捜部の取り調べに「問題がある」と口にするなど異例の展開をたどり、結局、無罪が確定した。 なぜ巨悪を断つための「正義の機関」はこんな無理筋な事件を手掛けるようになってしまったのか。そこには、2001年10月、小泉政権と当時の検察首脳の間で取り交わされた「けもの道」という名の取引が隠然たる力を発している。三井環が告発した検察の裏ガネ問題。これが世間に公表されることを恐れた検察首脳は「時の権力」に頼み込み、不問に付してもらった。だが、このとき作った大きな借りによって検察は「自民党に利する捜査」を行わざるを得なくなった。 なぜ鈴木宗男氏が狙われ、村岡兼造・元官房長官のみが起訴され、緒方重威・元公安調査庁長官が古巣に逮捕され、小沢一郎氏が党幹事長の座から引きずり下され、村木厚子氏が目を付けられたのか。「検察暴走の論理」がここにある。